基本コンセプト
・このプロジェクトでは、紹介する農家の各品目を、国の食品基準値の1/5の20bq/kgに相当する検出
 限界値(20bq/kg)で検査します。この数値を越える農産物がないことを確認することが最大の目的です

・農家ごと、品目ごと、さらに様々なリスク要因を勘案しながら、高い放射能濃度の農産物が粗いサンプル
 検査をすり抜ける不安を取り除き、納得できる「高レベルのきめ細かな検査体制」を目指します。

・圃場での空間線量測定、土壌スクリーニング検査および検体採取、ベクミルでの検体測定いずれのプロ
 セスにも消費者ボランティアの参加を積極的に呼びかけ、信頼感ある情報発信を行います。
 
 
  <STEP 1> 圃場での測定と検体選び
 
1) 路地畑の場合、1農場の1品目につき、耕作されている土地の4隅+中央の5点から土壌を採取。
   ハウス栽培の場合は、1農場の1品目につき、ハウス1棟ごとに土壌1検体の採取
   をそれぞれ基本とします。
   当該品目に関して、採取した検体(農産物)をすべてベクミルでの放射能測定に回す場合は、ここから
   5)に進みます。
 
2) 1)のポイントの土壌を、塩化ビニール管にて採取します(地下5~15cm)
 
 
 
 
3) 採取した土壌を、バケツなどで均等に混ぜたあと、容積と重さを一定範囲内に合わせて土壌スクリー
   ニング検査用の検体とします。農家の納屋や車などに設置し、キャリブレーションを済ませたベル
   トールド社ベクレルモニター(LB200)にて5分間の簡易放射線測定をします。
   LB200は核種判断のできない機種ですが、同一圃場の各ポイント間の土壌の相対的な放射能濃度
   の大小を判断することができます。
 
 


4) 3)で計測した土壌の放射能濃度を農家が用意している圃場マップに記入し、もっとも高い
   値が計測された土壌のあったポイントから、検体用の農産物を採取します。
   通常のケースでは、土壌から農産物への放射能セシウムの以降は、作物ごとにほぼ一定
   の移行係数に基づいて起こることが知られています。
   すなわち、農産物の放射能濃度は、原則的に土壌の放射能濃度の大小に比例します。
 
 
 
5) ただし、ある特殊な条件下においては、一定の移行係数に基づいた放射性セシウムの移行と
   いう理屈が通用せず、非常に高率で農作物が汚染されるケースがあることが知られています。
   それは、

   ・土壌にセシウムが吸着しにくい砂質土壌
   ・土壌中の交換性カリウム(植物が吸収可能な形で存在するカリウム)が過小な圃場
   ・森林などから高汚染水が直接流れ込む恐れのある地形
   ・pHの低い土壌(酸性に傾いた土壌)

   などの要因が複合的に重なった場合と言われています。
   私たちのプログラムでは、上記のような危険性があるポイントがないかどうか、実際の土壌
   の触診や農家へのヒアリング等で確かめ、もしそうしたポイントがあれば、ベクミルで計測
   する検体として追加しています。
 
6) こうした一連の測定の過程で、ガイガーカウンターによる空間線量の測定も適宜行い、結果を
   圃場マップに書き込んでいきます。
   これは、おもに生産者の健康被害対策として、ビニールハウスの建て際(一般的に耕作には
   使われません)や排水路沿いなど、放射性物質が濃縮しやすいポイントへの注意を喚起し、
   必要があれば行政にマイクロホットスポットの除染を求めるために行っています。
 
 
 
 
  <STEP 2> 放射線測定用検体の加工
<STEP 1>で選んだ検体(農産物)を洗ってよく泥を落とし、ヘタ、皮などを切除してそれぞれの品目
可食部だけにします。
そして、可食部を包丁とフードプロセッサーでペースト状に加工し、ベクミルで放射線測定をするために
350ccの測定用検体に調整します。
 
 
 
 
 
  <STEP 3> ベクミルでの農産物の放射線量測定

1) まず、測定用検体の重量を測ります。
 
 
 
 

2)農産物の測定をする機種は、核種判断のできるベルトールド社ガンマスペクトロメータ(LB2045)
  です。測定を開始する前に、検体の容積と重量を入力します。
 
 

 
3)本プログラムでは、検出限界値を食品基準値の1/5に相当する20bq/kgに設定しています。
  これにより20bq/kgを超える農産物がないことを確認することができます。

  ガンマスペクトロメータの画面に表示されるMDA(検出限界値)が20bq/kgになったところで測定を
  ストップし、表示されているCs134とCs137の合計の計測数値が、検出限界値未満であること
  確認し、計測終了です。
  これを、<STEP 1>で選んだすべての検体について行います。
 
 
 
 
 
4)もし20bq/kg以上のセシウムが計測された場合には、当該農家に該当する品目の出荷自粛を
  申し入れることになっています。
  そのうえで、当該品目の将来的な再出荷を希望する場合には、さらにきめ細かな検体の採取
  による再測定で汚染範囲を確定させ、土壌改良などを検討していきます。
 
 
 
(写真提供: シノドス http://synodos.jp/